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インフルエンザウイルスの怖さ!

[2019.12.12]

監修/北村 聖
東京大学医学教育国際協力研究センター 教授

インフルエンザウイルスの種類

インフルエンザは、インフルエンザウイルスが原因で起こります。インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型の3種類が知られていますが、人の間で流行するのは主にA型とB型です。
A型は、特に遺伝子変異が起こりやすく、人に抗体ができても、少しずつ変異して、新たな感染源となって毎年流行を繰り返します。
また、インフルエンザウイルスの活動性が高まるのは、一般的に湿度と気温の低い冬の季節です。

通常、人の気道(鼻から喉、気管支などの空気の通り道)には、空気と一緒に入ってきた小さなゴミや細菌、ウイルスなどの異物を粘液で包み込み、外へ送り出す働きがありますが、乾燥した冷たい空気はこの働きを低下させるためです。

鳥インフルエンザと新型インフルエンザの関係

最近、「鳥インフルエンザ」から人に感染性を持つ「新型インフルエンザ」の出現が危惧されています。
02もともとインフルエンザウイルスは、カモなどの水鳥の腸に共生していました。カモが渡りの途中で、アヒルやニワトリなどと接触するうちにインフルエンザウイルスが伝わり、さらに豚に感染し、豚の鼻の粘膜でいろいろなタイプのインフルエンザウイルスが 「遺伝子再集合」※ を起こして人に感染するものが生まれると考えられています。
鳥インフルエンザは、本来ニワトリなどの鳥同士が感染するものですが、直接人に感染する例も見つかっています。強い病原性をもった鳥インフルエンザウイルスが遺伝子再集合により人に感染しやすいタイプに変化すると、今までにないインフルエンザウイルスが出現することになります。

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このような新型インフルエンザウイルスに対する対策は、日本だけでなく世界規模で考える必要があります。
※遺伝子再集合: 同じウイルスでも遺伝子の違うものが集まり、それまでにみられなかった新しい遺伝子の組み合わせが生まれること。

インフルエンザの症状

04インフルエンザの症状は、風邪と似ています。しかし、喉の痛みや鼻汁、くしゃみ、咳といった風邪の症状に加えて、38~40度の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの強い全身症状を伴うのがインフルエンザの特徴です。
感染してから発症するまでの間には、1~5日程度の潜伏期間があると考えられています。症状は、健康な成人であれば通常3~7日間続き、その後、治癒に向かいます。

重症化させないために

インフルエンザの症状は、免疫機構の働きが正常であれば1週間程度で治りますが、呼吸器、心臓などに慢性の病気を持つ人や高齢者では重症化しやすく、最悪の場合は死に至ることもあります。
インフルエンザが重症化すると、気管支炎や肺炎を併発します。小児では、「中耳炎」や「熱性けいれん」、そして非常に危険な状態ともいえる「急性脳症」などに至る可能性も高くなります。
『風邪かな?』と自己判断せずに、早いうちに医師にかかることが重症化させないコツです。
また、インフルエンザワクチンを接種しておくことも重症化を防ぐ上で有効です。

ウイルスと免疫機構との闘いが症状に!?

インフルエンザウイルスは、気道の正常な細胞の遺伝子に自己の遺伝子を送り込み、増殖します。一方、人の体には免疫機構があり、ウイルスの増殖をいち早く察知し、免疫機構がウイルスの増殖を抑制しようとウイルス対免疫機構の闘いが始まります。
この闘いが、高熱と関節痛、全身倦怠感などのインフルエンザに特徴的な症状となって現れると考えられています。
 また、 ウイルスにとって高熱は苦手な環境なので、むやみに解熱薬を使って熱を下げるのはよくないといわれています。

検査

インフルエンザの検査は、迅速診断キットで行われるようになってきました。これは、喉あるいは鼻の粘液を綿棒で取って調べる簡便な検査です。
また、血液を採取してインフルエンザウイルスに対する抗体の有無や量を調べることもあります。

30分で診断!?

インフルエンザは、流行する時期が決まっていることや特徴的な症状から問診などで診断は容易です。
現在は、迅速診断キットによって30分以内に正確な診断ができます。

治療

一般療法

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  • できるだけ安静にし、栄養と十分な睡眠を取ります。
  • インフルエンザウイルスの空気中での活動や感染を抑えるために、加湿器などで室内の湿度を50~60%に保ちます。
  • 水分を十分に補います。お茶、スープ、ジュースなど何でもいいので飲みたいものを飲みます。

対症療法

発熱や関節痛などに対しては解熱鎮痛薬、鼻水やくしゃみに抗ヒスタミン薬などが用いられます。一方、インフルエンザの症状はインフルエンザウイルスに対して免疫が正常に働いている結果であり、薬で無理に抑えないほうがよいという考え方もあります。市販の薬を自己判断で使用することは、却って逆効果になる場合があるので、医師の指示にしたがってください。

避けたほうがよい解熱薬

インフルエンザに対して避けたほうがよい解熱薬があります。アスピリンなどのサリチル酸解熱鎮痛薬、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸がその代表的なものです。市販の解熱薬の中には、これらが含まれている製品があります。特に、小児では重い副作用が起こることがあるので、自己判断を避け、必ず医師に相談してください。

抗ウイルス療法

インフルエンザウイルスに対する治療薬として、塩酸アマンタジンとノイラミニダーゼ阻害薬があります。塩酸アマンタジンはA型インフルエンザウイルスに有効で耐性が起こりやすいのですが、ノイラミニダーゼ阻害薬はA型、B型どちらのインフルエンザウイルスにも有効です。但し、これらの抗ウイルス薬は 発病後48時間以内に服用 しないと効果がありません。
また、現在日本ではノイラミニダーゼ阻害薬のリン酸オセルタミビルと塩酸アマンタジンを予防薬として使用することができますが、13歳以上に限るという制限など、いくつかの条件があるので医療機関に相談してください。

インフルエンザにかからないためにできること

インフルエンザが流行しているとき

  • 人ごみを避ける。
  • 外出時にはマスクをつける。
  • 外出から帰ったらうがい、手洗い、洗顔を行う。
  • 栄養バランスのよい食事を摂る。
  • 疲れをためず、休養および十分な睡眠をとる。

インフルエンザワクチン接種を受ける

インフルエンザワクチン接種を受けたからといって感染を100%防ぐことはできませんが、健康な成人では70~90%くらい発病を阻止するといわれます。

接種時期 11月頃
接種回数 ・ 原則として1~4週間の間隔をおいて2回
・ 65歳以上/昨年予防接種を受けている/近年インフルエンザにかかった人は1回でよいとされますが、最終的には医師が判断します
費用 自己負担で、1回/約3000~5000円
※接種について ・ 明らかな鶏卵・鶏肉アレルギーを持つ人はワクチン接種ができません
・ 妊婦または妊娠の可能性のある人は医師に相談することをすすめます
・ 高熱があるなど体調が悪いときはワクチン接種を避けます

インフルエンザの予防接種を実施している医院

秋から冬にかけて大流行が予想されるインフルエンザですが、ワクチンを打つことでたとえ発症したとしても軽い症状で済むといわれています。提携サイトであるEPARKクリニック・病院では、全国でインフルエンザワクチン接種を受け付けている医療機関を掲載しております。

インフルエンザの予防接種を実施しているクリニック・医院の一覧

インフルエンザ予防接種 EPARK クリニック・病院補助について

インフルエンザの予防接種をお考えの方にEPARKクリニック・病院では補助を実施しております。 詳しくは「インフルエンザ予防接種 EPARK クリニック・病院補助対象について」をご確認ください。

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